外国人に出入国の自由・在留権はある?わかりやすく解説【憲法学】

憲法
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外国人の人権問題を議論するうえで、その議論の前提となるのが「そもそも、外国人にも、憲法上の人権は保障されるのか」という問題です。

これについては、以下の記事で解説しています。

本記事では、これを踏まえたうえで、外国人の人権問題の中でも「出入国の自由」に焦点を当て検討していきます。

外国人に出入国の自由はある?

・入国の自由:なし
・出国の自由:あり(憲法第22条2項で保障)
・再入国の自由:なし(判例)・学説では争いがある

外国人の「出入国の自由」と一口にいっても、「入国の自由」「出国の自由」「再入国の自由」に分けて考えられます。

文字通り、「入国の自由」とは外国人が日本に入国する自由、「出国の自由」とは外国人が日本から出国する自由のことです。

「再入国の自由」とは、日本にいた外国人が、一度日本を出国し、再び日本に入国する自由のことです。

簡単に言えば、「外国人が、外国に一時旅行をする自由」のことです。

そして、このテーマを議論するにあたっては、憲法第22条の解釈が問題となります。

1:何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2:何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

憲法第22条

それでは、それぞれの出入国の自由は外国人にも認められるのかについて、検討していきます。

入国の自由

まず、外国人の入国の自由については、憲法第22条では保障されていないと考えます。

また、入国の許可・拒否は、国際慣習法上、各国の裁量に委ねられていると考えます。

これは、通説の立場であるほか、判例(最大判昭32・6・19)の立場です。

つまり、外国人は、日本に受け入れてもらう権利は持っておらず、日本も外国人を受け入れる義務がありません。

出国の自由

次に、出国の自由については、憲法第22条第2項を根拠に認められると考えます。

判例(最大判昭32・12・25)の立場であり、外国人は、日本から出国する権利を持ちます。

再入国の自由

問題なるのが、再入国の自由です。

これについて、判例は、入国の自由が保障されないとした最大判32・6・19を挙げたうえで、再入国の自由は認められないとの立場をとります。

外国人には、外国へ一時旅行をする自由が保障されていないのは、上記判例の趣旨に照らして明らかだというのです。

つまり、判例は、再入国の自由について、「入国の自由」に傾斜した立場をとっていることがわかります。

一方、学説は、出国の自由が保障されている以上、再入国の自由も認められるべきだとの立場をとります。

つまり、学説は、再入国の自由について、「出国の自由」に傾斜した立場をとっていることがわかります。

なお、「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」により、特別永住者には再入国の自由が認められるようになっています。

外国人に在留権はある?

・在留権:なし(判例)

在留権とは、外国人が日本に入国したのち、「日本に居続ける権利」のことです。

外国人の在留権については、入国の自由と同様、自由裁量の問題だとされます。(マクリーン事件最大判昭53・6・19

マクリーン事件では、外国人の、日本における政治活動の自由在留許可をめぐって争われました。

(マクリーン事件では、外国人の人権について、この二つの重要なテーマが議論されましたが、ここでは、後者(在留許可)のテーマを取り上げています。)

在留権は国の自由裁量とされたわけですから、国が認めなければ、外国人が日本に在留する資格はないということになります。

まとめ

◎外国人に出入国の自由はあるか?
・入国の自由:なし
・出国の自由:あり(憲法第22条2項で保障)
・再入国の自由:なし(判例)・学説では争いがある

◎外国人に在留権はあるか?
・在留権:なし(判例)

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