TikTok立ち入り検査へ!認識されはじめた国家情報法のリスク

政治
スポンサーリンク

自民党内で、中国の「国家情報法」のリスクが認識され始めたようです。

近年、若者の間で人気が広がっている動画投稿アプリTikTok(ティックトック)を念頭に、中国製アプリによる個人情報の流出を防ごうという動きが出てきています。

動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を念頭に置いた中国発アプリによる個人情報の漏洩を防ぐため、自民党の「ルール形成戦略議員連盟」(会長・甘利明税制調査会長)が近く政府に示す提言案が9日、判明した。問題発生時に国家安全保障局(NSS)や内閣サイバーセキュリティーセンター(NISC)などが、アプリ提供者への立ち入り検査などを実施できるよう環境整備を求めるのが柱。
~中略~
アプリ利用者の個人情報などのデータ取り扱いをめぐっては、企業に対して情報活動への協力を義務付けている中国の国家情報法を意識し、他国の法令が適用されるか否かをアプリ提供者が明確にすることも盛り込む方向だ。

令和2年9月10日付産経新聞3面「中国アプリ 立ち入り検査も」

認識され始めた「国家情報法」の脅威

以前は、中国の通信機器や中国製アプリのリスクについて、政府はそこまで積極的に関心を持っているようには感じられませんでした。

アメリカやイギリスがHUAWEI製品を排除することを決定した際も、日本はその動きに同調することはありませんでした。

これについては、以前の記事(HUAWEI製品を使ってはいけない本当の理由)で、日本政府の対応を批判しました。

しかし、ここにきて、ようやく政府・自民党も重い腰を上げ始めたようです。

中国製通信機器・アプリは、日本にとっても、安全保障上の脅威になりかねず、危険であるという認識が広まりつつあるのでしょうか。

自民党内でも、「国家情報法」を意識した対策が議論されはじめています。

中国の「国家情報法」とは、簡単に言えば、中国政府が、中国国民・中国企業に情報活動・スパイを命令した場合、命令された者はそれに従う義務があるという恐ろしい法律です。

(詳しくは、「中国の「国家情報法」とは?その危険性は?」の記事をご覧ください。)

例えば、中国政府が「国家情報法」をバイトダンス社(TikTokを運営している企業)に適用した場合、バイトダンス社はTikTok利用者の情報を中国政府に提供することを余儀なくされるのです。

ですから、このリスクを認識・対応しようとする動きが出てきたことについては、ポジティブな動きとみてよいでしょう。

動きの鈍い日本政府

脅威の認識・対応への動きが見え始めたこと自体は歓迎すべきですが、動きが鈍すぎるでしょう。

例えば、HUAWEI製品を、早くから販売禁止にしていれば、スマートフォンを購入しようとする者の選択肢からは外れたでしょう。

あるいは、もっと早くからこの議論が進み、禁止していれば、TikTokを利用しようとする者はもっと削減できたでしょう。

アメリカやイギリスの動きなどから、中国の脅威が認識できたにもかかわらず、日本政府が対応を怠ったことは、大きな過ちであったといえます。

日本政府は、「覇権争いだから、どちらにも良い顔をして、どちらの敵にもならないように傍観する」のではいけません

日本は、米軍が存在する以上、アメリカとの関係は切っても切れません。

また、自由・民主主義・人権・法の支配といった普遍的価値を共有する国々との連帯を図らなければ、西側諸国からも見捨てられることになります。

経済的にも厳しい今だからこそ、目先の経済的利益にとらわれず、普遍的な価値を共有できる国々との連帯で乗り切る必要があるのではないでしょうか。

国民を守るのは政府の一義的な役割

そもそも、政府というのは何のためにあるのでしょうか。

それは、一義的には、私たちの自然権を守ってもらうことにあります。

自然権とは何かについてはこちらの記事で解説しています。

ですから、政府がその役割を放棄すれば、政府の存在意義に疑問を抱かざるを得ません。

中国製通信機器や中国製アプリが、国民にとって安全保障上の脅威となり得るのであれば、それを除去できるのは政府しかありません。

「政府に頼らずに、自衛をするしかない」という者もいるかもしれませんが、これができるのは一部の人間だけあり、それには限界があります。

自分が自衛したところで、中国製通信機器や中国製アプリを利用する他者が、自分の個人情報を握っていれば、意味がないからです。

政府が動かなければ、大半の国民は動けません。

政府は、取り返しのつかない事態を避けるためにも、「国家情報法」のリスクにおける議論をより一層加速させる必要がありますし、私たちも「政府の本気度」を注視していく必要があります。

タイトルとURLをコピーしました